コラム

愛知の運送業を救う高卒採用!若者離れを防ぐ対策を紹介!

東京と京都の中間に位置し、「中京」とも呼ばれる名古屋市を擁する愛知県は、日本の物流における要衝ともいえる地域です。
平成24年の愛知県による産業別従事者数の調査で、運送業が製造業に次ぐ第2位だったことからも、その重要性は明らかでしょう。
しかし、そんな運送業も近年では若者離れが進み、ドライバーの高齢化が深刻な問題となっているのです。
そこで今回は、運送業をめぐる人材不足の現状と、企業がこれから取り組むべき対策についてご紹介していきます。

出典:平成24年の愛知県による産業別従事者数の調査
https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/45720.pdf

運送業における若者離れの実情

少子化と超高齢化が進行する日本では現在、多くの業界・業種で人材不足が問題視されています。
運送業、とりわけ中小企業は、コロナ禍以降のネット通販の普及により、需要に対して輸送能力が追いつかない、という事態にまで陥りつつあるのです。
しかし、ある意味では“引く手あまた”ともいえるこのような状況で、なおも若者離れが続いているのは何故なのでしょうか。

運送業で若者離れが進む原因とは?

若者が運送業を敬遠する大きな原因は、「3K」のイメージが根強いことでしょう。
3Kとは、「キツい」「汚い」「危険」という要素の揃った仕事を表す言葉です。
運送業の場合、「汚い」に代わって給与が「稼げない」、長距離配送で家に「帰れない」などが当てはまるとも言われます。

・キツい
荷物の手積みや手降ろし、長時間の運転など、担当業務によっては肉体的にも精神的にも疲れを伴う仕事です。特に中・長距離ドライバーの場合は、なかなか家に「帰れない」ことも疲労の一因となるでしょう。

・危険
疲弊した状態で長時間の運転を続けていれば、事故にあう可能性も増加するといえます。また、事故にあった際の賠償問題や、罰金の支払いにおける自己負担のリスクも、常に意識しなければなりません。

・稼げない
運送業の平均的な年間所得は、ほかの産業と比較して低いと言われています。仕事内容のキツさや事故のリスクに対して、給与が見合っていないと感じる人が多いのです。

また、2007年と2017年の道路交通法改正による、自動車運転免許の細分化も少なからず影響しています。
2007年以前は、普通免許で最大積載量5トン未満・車両総重量8トン未満のトラックの運転が可能でした。
しかし、2007年に中型免許、2017年に準中型免許が新設されたことで、2017年以降に取得した普通免許で運転できるのは、最大積載量2トン未満・車両総重量3.5トン未満のトラックに限定されました。
交通の安全を確保するために必要な措置である反面、トラックドライバーとしてキャリアを始めるためのハードルが上がってしまったことも事実でしょう。

運送業の人材不足に拍車をかける2024年問題

「2024年問題」という言葉をご存じでしょうか。
2024年4月1日以降、働き方改革関連法がトラックドライバーにも適用されることで、さらに人材が不足するのではないかと懸念されているのです。

同法律の施行によって、トラックドライバーの時間外労働の上限は、年間960時間まで制限されます。
先述した年間所得の低さから、残業代を含めて生計を立ててきたドライバーにとって、この制限は大きな痛手です。
そのようなドライバーのなかから、離職者が相次ぐということも考えられるでしょう。

また、多くのドライバーの運転時間が減少することで、これまでと同じ荷量を運べなくなることも推察されます。
これまで長時間の労働で担っていた仕事を支えるためにも、新たな人材の確保が必要となるのです。

運送業が人材確保のために取り組むべき対策

新たな人材確保が急務とされるなか、企業はどのような対策をおこなうべきなのでしょうか。
まずは、社内において取り組むべきポイントについてご紹介します。

教育体制を改善し人材育成に注力する

人材不足に陥らないために、まずは定着率の維持・向上を目指す必要があります。
高卒・大卒を問わず、初めて社会に出て働く新卒社員に長く勤めてもらうためには、入社後の社内教育が欠かせません。
教育体制の見直し・改善には積極的に取り組み、早期離職を防止しましょう。

また、社員が仕事に関する悩みを相談できるよう、ほかの社員や上司とコミュニケーションを取りやすい環境を整えることも大切です。
特に新入社員は不安なことも多いため、何気ない日常会話をするだけでも精神的なケアになります。
上司との 1on1ミーティング、相談役の先輩社員と定期的に面談できるメンター制など、自社にあった面談・相談の仕組みを、制度として取り入れるのもよいでしょう。

幅広いキャリアプランを作成する

トラックドライバーは流動性が高く、転職しながらキャリアアップを目指す人材も多いと言われています。
自社に長く勤めてもらうためには、それぞれの人材がどのようなキャリアを求めているのかを知り、それを叶えられるプランを作ることが大切です。

ドライバーのキャリアパスは、ほかの業界と比べてあまり多くはありません。
一般的な流れとしては、ドライバーから主任ドライバー、運行管理者になり、営業所長や支店長に昇格するケースが多いでしょう。

キャリアプランの幅を広げる方法のひとつに、従来の運行管理者ではない、管理職ポストの新設があります。
たとえば、倉庫管理や物流管理、物流コンサルティングのほか、配送・配車システムのIT化などに取り組み、仕事のバリエーションを増やしてみましょう。
そうすることで、新たな部署の管理者が必要となり、自社内で積めるキャリアの幅も広がるのです。

もちろん、部署の新設はそう簡単なことではありませんが、自社のビジネスチャンス拡大において必然性が高ければ、積極的に取り組むべきでもあります。
社員の理想とするキャリアと、企業に対する貢献とがバランスよく両立する関係を目指しましょう。

女性も働きやすい環境づくり

運送業に対しては、いまだに「男性の仕事」というイメージが根強く残っています。
しかし近年、トラガールとも呼ばれる女性トラックドライバーが、新たな人材として注目を集めていることをご存じでしょうか。

女性ドライバーの積極採用による人材の確保は、労働力の不足を補う現実的な対策のひとつといえます。
そのためには、女性でも働きやすい職場環境や待遇、福利厚生の整備が不可欠です。
事務所や休憩室、男女別トイレといった環境面に加え、産休・育休制度や、子持ちの方も働ける柔軟な勤務体制を整えておきましょう。

運送業の採用戦略におけるポイント

社内の体制や、労働環境に関する改善の取り組みは、採用活動でも積極的にアピールしていきましょう。
特に、若者を対象とした採用戦略では、以下のポイントを意識して取り組むことが大切です。

待遇・環境改善の取り組みを周知する

まずは、運送業に対するイメージを、従来の3Kから塗り替えていく必要があります。
たとえばIT技術の活用や、ロボットの導入による業務効率化の取り組みは、「キツい」イメージを払拭するうえで大いに役立つでしょう。

また、ネガティブな面に注目されがちな働き方改革関連法も、基本的にはドライバーの健康への配慮を目指した法律です。
残業時間の制限や、休息時間の確保といったプラスの要素を訴求して、待遇改善の動きがあることをアピールしていきましょう。

他社と差別化できる魅力を訴求する

愛知県において、運送業の従事者が多いということは、それだけ競合他社の求人も多いことを表しています。
そのような状況で、給与や待遇の改善といった、他社も積極的に取り組むであろうポイントだけを訴求していては、差別化を図ることは難しいでしょう。

求職者の興味を惹くためには、プラスアルファとなる自社独自の取り組みをアピールすることが大切です。
社風や福利厚生、安全への取り組みなど、他社にはない強みや魅力を見出して訴求しましょう。

目的に応じて新卒採用と中途採用を切り替える

採用戦略を立てる際には、新卒採用と中途採用を使い分けることも重要です。
たとえば「自社で長く活躍してくれる人材がほしい」という場合、ある程度のキャリアをもつ中途人材よりも、戦力として活躍できる期間が長い新卒の採用に注力するべきでしょう。

一方で「即戦力になる人材がほしい」という場合には、経験に基づく新人教育や、業務効率化の提案までも期待できる中途人材の採用がおすすめです。
どのような人材が自社に必要なのかを考えたうえで、採用戦略に臨みましょう。

大卒だけでなく高卒採用にも取り組んでみる

近年では、求人倍率や採用コストの高さから、優秀な大卒人材の確保が難しくなっています。
そのような状況下で注目を集めているのが、高卒採用の実施です。

これまでも高卒人材を多く採用してきた製造、飲食、サービス、介護といった業種のほか、様々な業種・職種で高卒採用の取り組みが加速しています。
人材不足解消のチャンスをつかむためにも、積極的に高卒採用を活用していきましょう。

運送業の高卒採用を成功させるには

「初めての高卒採用に取り組みたい!」「これまで高卒採用の機会がなかったので、何をすればいいかわからない……」など、高卒採用をめぐる状況は企業によって様々でしょう。
ここからは、高卒採用を実施するうえで押さえておきたいポイントをご紹介します。

高卒採用の流れを把握する

高卒採用は、応募受付や選考の期間、学校・企業間におけるルールなどが細かく決められています。
地域によって異なる場合もあるため、該当地域のハローワークのホームページをしっかり確認しておきましょう。

高卒採用を成功させるポイント

高卒採用における成功のポイントは2つあります。

・高校生にもわかりやすい求人票の作成
高卒採用は、ハローワークから発行される求人票を中心におこなわれます。
しかし、求人票には文字情報しか記入できないため、社会経験のない高校生にも伝わるように作成する必要があるのです。

・高校の先生と関係値を深める
高校生の就職活動において、生徒の主な情報源は高校の先生です。
そのため、企業から先生へ適切にアプローチして関係値を深めることで、生徒に紹介される機会が増える可能性があります。

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