コラム

高校生採用における三者協定を徹底解説!成功のカギは?

【9】高卒採用 三者協定

大学新卒採用と違い、高校新卒採用では三者協定によりルールが決められています。
これは、高卒採用を行う企業側も把握しておくことが必要です。

ここでは、高卒採用における三者協定を詳しく説明するだけでなく、上手く活用しながら高卒採用を成功させる方法まで解説していきます。

高卒採用における三者協定とは?

高卒採用では三者協定が結ばれており、企業はその規則の中で採用活動を行わなければなりません。
では、三者協定とはどのようなものなのでしょうか。

三者協定とは?

高卒採用における三者協定は、行政(文部科学省・厚生労働省)、主要経済団体、学校組織の3つの間で結ばれた、学生の就職活動についてのルールのことです。
かつては大卒者の就職活動でも決められていましたが、現在は高卒者のみを対象に行われています。

三者協定で決められたルールには「一人一社制」や「学校斡旋」などがあります。


三者協定はなぜ必要?

なぜ、高卒採用では未だに三者協定が結ばれているのでしょうか。

1つ目の理由は、未成年である高校生を守るためです。
高校生は、企業や社会人に対する知識が少なく、仕事に対する理解がきちんとできないまま入社することで、無理な働き方をさせられたり、危険なビジネスに巻き込まれたりする可能性があります。
細かいルールを定めて、信頼できる企業からの求人のみを提供することで、これらを防ぐ役割を果たしているのです。

2つ目は、学業を優先させながら就職活動をすすめるためです。
高校生の最優先事項は学業です。
就職活動のルールがなくなれば、企業は早くから学生にアプローチを行い、学業の妨げになる可能性が出てきます。
あらかじめスケジュールを決めておくことで、高校生が学業に専念できる環境を整えています。

3つ目は、すべての生徒に公正な就職の機会を与えるためです。
大卒では、一人で複数の企業へ応募することができますが、高卒就職者は一人一社制(※)のルールで就職活動を行います。(※都道府県により、初めから複数社受けられる場合もあります)
これは、すべての生徒に平等な就職活動の機会を与えることが目的で、実際に内定率も99.2%と非常に高くなっています。

高卒採用の三者協定のルール

高卒採用では、スケジュールも厳密に定められています。
ここでは、企業側が知っておくべき日程をいくつかピックアップしました。

求人票の提出時期

三者協定のルールに則って採用活動を行うには、ハローワークに高卒専門の求人票を提出する必要があります。
ハローワークの求人票受付開始日は例年6月1日となっていますので、覚えておきましょう。
提出した求人票は、受理されると例年7月1日ごろからWEB上で公開されるとともに、企業から学校への直接の送付も解禁されます。

厚生労働省職業安定局
高卒就職情報WEB提供サービス
https://koukou.gakusei.hellowork.mhlw.go.jp/cont/job_offer.html

面接の開始時期

企業による採用選考は例年9月16日ごろから解禁となります。
この日までは、いかなる選考も行ってはいけません。

高卒就職者の場合、選考開始前に職場見学を行うのが一般的ですが、見学参加の有無で採用を判断することや、就職活動状況に関する質問をすることも禁止されています。

内定の締結時期

内定も採用選考と同様、9月16日ごろから解禁となります。

大卒採用では、内々定のような形で事前に内定を伝えることもありますが、高卒就職者の場合は、解禁日前に内定と受け取られるような話をすることも違反となりますので注意しましょう。

高卒採用の三者協定のメリット

企業における三者協定のメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。

優秀な人材を採用できる

高卒就職者は、大卒就職者と比べると母数が少なく、学校訪問や職場見学を通じて優秀な高校生と出会える機会が多くあります。
高卒採用の場合は一人一社制により、内定が出た企業に就職することが一般的となっていますので、大卒採用と違って内定辞退されることも少なく、欲しいと思った人材を採用することができるでしょう。

採用コストを削減できる

三者協定では、企業と生徒の間に学校が入ることになっています。
企業に応募する際は学校の推薦が必要ですが、一人一社制の規定もあり、学校側は「生徒に合った企業なのか」「採用される見込みはあるのか」などを慎重に考えた上で推薦を出します。
学校側がある程度応募する生徒を絞り込むため、大学新卒のように膨大な履歴書を確認する必要もなく、企業側は少ない労力で採用活動を行うことができるでしょう。

また、大学新卒の求人サイトでは、広告掲載にも多額の費用がかかってしまいます。
しかし、高校新卒では、ハローワークの求人票を使った採用が一般的ですので、コストを抑えることができますよ。

採用活動にかかる時間を短縮できる

高卒就職の場合、求人票の提出から、採用選考・内定解禁日までおよそ3か月半と短いのが特徴です。
また、1次選考でほとんどの学生は内定先が決まりますので、大学新卒よりも活動期間が短く済みます。

ミスマッチを防ぐことができる

高卒就職を行っている学校は、長く生徒の就職をサポートしていることが多く、卒業者のデータなどを元にしながら、企業への適性を見極めています。
応募の際も、学校側が適性を見ながら推薦を出しますので、ミスマッチを防ぐことができるでしょう。

地域とのつながりを深めることができる

大学と違い、高校では周辺地域から通う学生がほとんどです。
高校との関係値を作ることで、地域のつながりを深めることができ、地元で人材を確保することができます。

高卒採用の三者協定のデメリット

ここからは三者協定におけるデメリットを確認します。
改善できる部分も多くありますので、しっかりチェックしておきましょう。

希望する学生を採用できない可能性がある

学校から紹介される学生は、あくまで学校の基準に合った学生です。
企業側からすると、希望する学生を採用できない可能性もありますので注意しましょう。

また、高卒就職の場合は、生徒と直接出会える機会が少なく、教員を介して生徒に自社の魅力を伝えてもらう場面も多くあります。
その際に、情報が全て伝わっていなかったり、違う受け止められ方をされたりする場合もありますので、大事な部分は職場見学など生徒と直接ふれあえる場面で改めて伝えるようにしてください。

学生の能力を正確に把握できない可能性がある

先述したように、学校は企業求人と生徒の適性を把握した上で推薦を出しますが、直接生徒と接する機会が少ない分、企業側が適性を見極めることができない場合もあります。

自社の仕事への適性があるかどうかは、面接の際に見極めるのがいいでしょう。
あらかじめ質問を用意しておくことで、どんな能力を持つ学生なのかを判断することができます。

採用活動の自由度が低くなる可能性がある

三者協定では、学校側が推薦を出す生徒を選ぶため、企業は推薦を受けた学生の中で採用選考を行う必要があります。
例えば、職場見学の際に印象がいい生徒がいたとしても、他社の選考を受けてしまう場合もありますし、内定が出れば今後の選考を受けることはありません。
学校が間に入る分、企業の自由度が狭まってしまうのはデメリットだと言えるでしょう。

三者協定を活用し、優秀な高卒生を採用する方法

三者協定の決められたルールの中で、優秀な高卒生を採用し、高卒採用を成功させるにはどうすればいいのでしょうか。
ここでは、高卒採用の際に企業が取り組むべき内容を解説していきます。

早い段階から採用戦略の準備を行う

高卒採用は、スケジュール通りに進む分、事前の準備が重要です。
まず、求人票の作成と発送、高校訪問をする際には学校の選定やアポ取り、職場見学の実施方法、採用選考プロセスなど、内定を出すまでに考えなければならないことが数多くあります。
これら全てを求人票の受付が始まる6月1日までに決定しておくのが理想です。

また、高卒就職者は早期離職が多いことも問題視されていますので、高卒人材に長期活躍や定着を求めている企業は、入社後の教育方法まで考えておくといいでしょう。

学校に足を運んで説明会を行う

先生や生徒との交流機会として重要なのが、説明会です。
学校での説明会を開催するには、学校訪問をしながら自社の魅力を知ってもらい、先生との関係値を深めることが重要となります。

これに関しては、すぐに結果を出そうとするのではなく、時間をかけて交流を行っていきましょう。
進路指導教諭は人事異動がない限り、一人が長く務めることも多いため、印象が悪くなった場合のダメージが大きくなってしまいます。

学校に直接求人票を作成・配布する

作成した求人票は7月1日からインターネット上で公開されますが、応募してほしい学校には、直接求人票を送付することもできます。
そうすることで、求人情報を見てもらうことができますし、採用に対する意欲の高い企業だという印象を与えることができるでしょう。

面接官のトレーニングを行う

高校生は、自己PRをすることに慣れておらず、大学生のように自分をしっかりとアピールできる生徒は少ないでしょう。
面接の際には、面接官の質問で一人ひとりの良さを見つけることが重要になってきます。

例えば営業職であれば「自発的に行動できるかどうか」、技術職であれば「手順通りに作業が進められるか」など、職種によって必要な適性は違います。
面接官に選ばれた社員は、それぞれの適性によって「部活の中ではどのような行動をしてきたか」「友達からはどのような人物と言われることがあるか」など適切な質問を考えましょう。
時間に余裕がある場合は、シミュレーションを行うこともオススメです。

内定者フォローを行う

学生として過ごす高校生は、社会人が1日をどうやって過ごしているかよく分かっていません。
入社後の動き方を不安に思っている場合も多くありますので、内定者には入社してからのスケジュールやどのように仕事を覚えていくのかなどを具体的に伝えておきましょう。

時間や内容が決まっている場合は「○時から社内設備についての研修があります」などと通知するべきですし、自己紹介などが必要な場合は準備を促しておくことも大事です。

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