皆さんの中には「高校生の進学率が年々上昇している」という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
高校生の卒業後の進路は、大きく「進学」と「就職」のふたつに分けられます。
とどまるところを知らない少子化により若年層の人口が減少し続ける中、進学を選ぶ高卒者の増加が、自社の採用活動に影響するのではないかと懸念する方もいるでしょう。
そこで今回は、近年の高卒者の進路選択の状況をデータに基づいて解説し、これから企業が取り組むべき対策をご紹介していきます。
目次
高卒者の進路選択のリアル
まずは、昨今の高校生が卒業後、どのような進路を選んでいるのかを見ていきましょう。
令和6年高卒者の進学率
文部科学省が発表した「令和6年度学校基本調査」に基づいて、高卒者の内における進学者の割合を見ていきましょう。
このグラフで59.1%と、全体の半数以上を占めるのが大学(学部)進学率です。
次いで短期大学・専門学校・高等専門学校と続き、これらを合わせた数値がいわゆる「進学率」にあたります。
高卒者の8割超が何らかの教育機関へ進学しているという状況が、ここからおわかりいただけるでしょう。
また、残る12.8%は高校卒業後に進学をしなかった人(未就職者含む)にあたり、人数としては約11.9万人※です。
この限られた人材をターゲットとして、自社を選んでもらうべくアプローチを重ねるのが高卒採用の要であるといえます。
※文部科学省「令和6年3月高等学校卒業予定者の就職内定状況 (令和5年10月末現在)に関する調査について」より算出
https://www.mext.go.jp/content/20231207-mxt_jidou001_000033019_001.pdf
進学率は本当に上昇傾向なのか
それでは、進学率が過去と比べて上昇傾向にあるというのは本当なのでしょうか。
文部科学省の報道発表資料で確認できる高等教育機関進学率※から、その推移を読み取っていきましょう。
※高等教育機関進学率(過年度卒を含む):大学・短期大学入学者、高等専門学校4年在学者及び専門学校入学者を、18歳人口(3年前の中学校卒業者及び中等教育学校前期課程修了者)で割ったもの
※グラフは、現在の算出方法の初出である「令和元年度学校基本調査(確定値)の公表について」以降の資料より作成
令和6年12月18日発表のデータによれば、大学を含む高等教育機関への高卒者の進学率は87.3%で、これは過去最高の数値です。
平成28年3月卒以降、80%台でゆるやかに上昇し続けており、特に令和5年3月卒から令和6年3月卒にかけては3.3ポイントという大幅な上昇が見られます。
「学校基本調査」のデータにおいて、平成初頭の進学率が50%台、平成15年頃でも70%台だったことを鑑みると、進学率が上昇傾向であることは事実といえそうです。
就職希望者数の推移
ここまでご紹介してきたデータは、高卒者の実際の進路に基づくものでした。
しかし、進路選択は必ずしも高校生自身の意志がそのまま反映されるわけではありません。
在学中に進学あるいは就職を希望していたとしても、何らかの理由で進路を変更するケースは決して少なくないでしょう。
それでは、在学中から卒業後の進路として「就職」を希望している人はどれほどいるのでしょうか。
就職希望者 128,349人(前年同月 129,301人)
うち就職内定者 99,218人(前年同月 99,768人)
うち未内定者 29,131人(前年同月 29,533人)
※文部科学省 統計資料「令和7年3月高等学校卒業予定者の就職内定状況(令和6年10月末現在)に関する調査について 」より引用
https://www.mext.go.jp/content/20241213-mxt_jidou01_000039257-00001.pdf
令和7年3月に高校を卒業予定の940,036人のうち、令和6年10月時点の就職希望者数は128,349人(約13.7%)です。
また同データから、これらの就職希望者の3/4以上、約9.9万人が10月末までに内定を獲得していることもわかります。
これらの数値を、平成30年10月末時点のデータと比較してみましょう。
就職希望者 186,790人(前年同月 187,597人)
うち就職内定者 146,031人(前年同月 144,732人)
うち未内定者 40,759人(前年同月 42,865人)
※文部科学省 統計資料「平成31年3月高等学校卒業予定者の就職内定状況(平成30年10月末現在)に関する調査について 」より引用
https://www.mext.go.jp/content/1411659_001.pdf
当時の高校卒業予定者1,060,333人のうち、平成30年10月時点の就職希望者数は186,790人(約17.6%)です。
対象者の人数が現在までに減少していることはもちろん、割合としても3.9ポイントと大幅に減少していることがわかります。
就職希望者数が減少している現状は、逆説的に進学率の上昇傾向を裏打ちしているともいえるでしょう。
就職希望者は増える可能性もある
これまでのデータを受け、「若者全体の人口も減り続ける中、ますます高卒採用が難しい状況が続くのではないか」と心配される方もいるでしょう。
しかし、進学率が上昇しているからといって、高卒採用を諦める必要はありません。
先ほども述べた通り、高校3年生の中には希望の進路を途中で切り替える生徒が少なからずいるのです。
進学希望から就職希望へ
もともと進学を考えていた高校生であっても、何らかの理由で途中から就職希望へ進路を切り替えることがあります。
例えば、9月の一次募集期間まで進学を目指していた生徒が、10月の二次募集期間で自社に応募してくる可能性もあるのです。
高卒採用の成功を目指すうえで、二次募集以降も諦めずに取り組み続けることが重要とされるのは、こういった人材を見逃さないためでもあります。
進路変更をした生徒の採用を検討する際には、“進学を諦めた”というネガティブなイメージにとらわれることなく、フラットな目線で評価することが大切です。
ひと口に進路変更といっても、家庭の事情や経済的な理由、早く社会に出て自立したい・実践的な能力を身につけたいといった自発的な動機など、様々なきっかけが考えられます。
必ずしも生徒自身にマイナスな要因があるとは限らないのです。
また、採用活動期間に食い込むまで勉強に専念していたことは、ポジティブな要素と捉えることもできるでしょう。
公務員希望から就職希望へ
進路変更のきっかけとして、もう一つ重要なファクターとなるのが公務員試験です。
具体的な日程や選考過程は自治体・試験種・年度などにより異なるため、今回はモデルケースとして、高校新卒者向けの愛知県職員採用試験のスケジュールをご紹介します。
■8月19日~9月4日:受付期間
■9月29日:第1次試験
■10月16日:第1次試験合格発表
■10月23日~10月29日:第2次試験
■11月14日:第2次試験合格発表
※参考:愛知県 人事委員会事務局職員課「日程・受験案内」
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/jinji-syokuin/nittei-zyukennannai.html
上記の公務員試験では、9月末頃に初回の試験が実施され、10月中頃までに合否結果が発表されます。
これは、民間企業の採用活動としては一次選考の結果が出揃い、二次募集の実施を検討し始めるタイミングにあたります。
そのため、二次募集以降の応募者には、公務員の一次試験で合格を得られなかった生徒や、公務員よりも民間企業への就職を強く希望するようになった生徒がいる可能性があるのです。
その中には、スキルや経験の面でより高いポテンシャルをもつ生徒がいるかもしれません。
進学から転向した生徒の場合と同様、“公務員試験で不合格だった”というマイナスな見方は取り払い、公平な選考を心がけましょう。
また、公務員試験で不合格だった生徒は、当然ながらそれ相応のショックを受けていると考えられます。
このような生徒の心情には充分配慮し、不必要に詮索することがないよう面接での質問事項や対応フローなどは事前に精査しておくことが大切です。
限られた高卒人材を確保するために
今回は、高校3年生の進路選択を取り巻く様々な実情をご紹介してきました。
それでは、高卒採用を成功させるために、これから企業はどのような対策に取り組めばよいのでしょうか。
学校側の最新の状況を把握する
まずは、高卒人材市場の現状を正しく知ることが大切です。
文部科学省のような公的機関やHR事業を扱う民間企業が定期的に発表するデータには、効果的な採用戦略の立案に活かせるヒントが多く眠っています。
市場全体の動向を的確に掴み、これから取るべきアクションを見定めていきましょう。
よりミクロな視点から学校側の現状を知るうえで、学校訪問は最適な手段のひとつです。
自社の採用活動の取り組みをアピールする場となるだけでなく、先生へのヒアリングを通して、過去の就職実績や進路選択の傾向といった情報を得られる可能性があります。
さらに、製造業や建設業といった業種別・職種別の在校生の希望状況など、採用戦略の強化に直結する有益な情報も聞けるかもしれません。
「学校を選ぶ時間や回る時間が取れない」「訪問しても何を聞けば良いのかわからない」という方は、訪問代行サービスの利用も検討してみてはいかがでしょうか。
また、進路担当の先生に直接アプローチしつつ情報収集にも役立つ場として、就職情報交換会のようなイベントに参加するのもおすすめです。
自治体や民間企業などの主催による様々なイベントがあるので、参加可能なタイミングがあればぜひ積極的に参加してみましょう。
PRによる認知度・企業理解の向上
高校生に自社を“選んでもらう”ためには、前提として自社の存在を知ってもらうことが重要です。
高校の進路指導室などに置かれる採用パンフレットは、生徒の目に触れる機会が多いだけでなく、先生が生徒に会社を紹介する際にも使用されます。
また、高卒採用に特化した動画やホームページなどのWEBコンテンツは、生徒自身が会社について調べて理解を深めるうえでも有用です。
自社に対する認知度と理解度を高めるうえで、このようなPRツールの制作は特に効果的だといえるでしょう。
また、これらのツールは学校訪問やイベントなどで先生にアプローチして、自社の取り組みを深く印象づける際にも役立ちます。
従来の求人票に基づいた説明に加えて、パンフレットや動画などのPRツールで自社ならではの独自性をアピールし、他社との差別化を図りましょう。
高卒採用支援に特化した制作会社であれば、まさに今の生徒・先生・保護者のニーズに的確に応えるPRツールの制作が可能です。
「何を、どうアピールしたら良いのかわからない」とお悩みの方は、まず一度相談してみてはいかがでしょうか。
高卒採用支援サービスを活用する
学校訪問やイベントへの参加、PRツールの制作など、これまでにご紹介した対策に取り組むためには多くの準備や対応が必要です。
限られた人員とスケジュールで、これら全てに対応するのは難しいこともあるでしょう。
そのような場合は、高卒採用支援サービスを活用することをおすすめします。
高卒採用に特化したトータルサポートをしている企業に相談しながら、スムーズな採用活動を実現して採用成功に繋げましょう。
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また、パンフレットや説明会動画などのプロモーション事業も同時に進められますので、より多くの情報提供ができますし、企業を理解して入社することでミスマッチの軽減にもつながります。
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