コラム

高卒採用の面接準備ガイド!質問の注意点や当日の心構えも紹介!

高卒採用活動の本格的なスタートを迎えた7月。
求人票の作成と提出、学校訪問の解禁に応募前会社見学の受け入れと、日々の採用活動に追われる中で後回しになりがちなのが、9月の選考、とりわけ面接に向けた準備です。
もし準備不足によって満足のいく面接ができなければ、学校側へのアピールに注力して得たせっかくの応募も採用に繋がらないか、採用できたとしてもミスマッチになりかねません。

そこで今回は、7月から着手するべき面接準備のポイントをご紹介していきます。
公平な面接をおこなうための質問時の注意点や当日の心構えまで解説していくので、日々の採用タスクで手一杯という方もぜひ一度、立ち止まって自社の状況を見直してみてください。

高卒採用の面接準備はいつから始める?

高卒採用の成否を分ける要因のひとつが、スケジュール感の把握です。
まずは7月以降の採用スケジュールを確認し、この時期から面接準備を進めるべき理由を紐解いていきましょう。

7月からは高卒採用活動の最盛期

高卒採用のスケジュールは、行政(厚生労働省・文部科学省)、主要な経済団体、学校組織による「三者協定」に基づいて厳格に進行していきます。

例年における7月から9月にかけての高卒採用活動の流れは以下の通りです。

■7月1日:求人票の公開開始、学校訪問の解禁
ハローワークによって受理された高校生向けの求人票が公開され、企業から学校へ直接の送付が解禁となります。
また、挨拶を兼ねた学校訪問による求人票の持ち込みも同日に可能となり、各社から学校へのアプローチはこの日を境に本格化します。

■7月下旬〜8月:応募前職場見学のピーク
高校生が実際に企業を訪れる「応募前職場見学」は、多くが夏休み期間を活用して実施されます。
高校生と直接触れ合える貴重な機会として、多くの企業が自社の魅力のアピールに注力する重要な場です。

■9月5日:学校から企業への応募書類の提出開始(沖縄県は8月30日)
学校側に対するこれまでのアピールの成果が目に見える形であらわれる、高卒採用の一つ目の山場です。
11日後に控えた選考開始に向けて、学校を介した応募者へのフォロー連絡や社内のスケジュール・業務調整といった細かな実務が続きます。

■9月16日:企業による選考〜採用内定の開始
いよいよ面接をはじめとした採用選考の開始です。
7月1日から約2ヶ月半、遅くともこの日までには、万全の状態で面接を実施できるよう準備を済ませておかなければいけません。

面接準備は意外にも時間を要する

「これまで通りの面接で大丈夫」、あるいは「応募が来てから準備すればいいや」と思われる企業も多いかもしれません。
しかし、限られたスケジュールで進行する高卒採用において、自社にマッチする人材を採用するためには入念な準備が不可欠といえます。
その理由は大きく分けて以下の3点です。

【1】公正さに欠ける不適切な選考を避けるため
応募者に対する面接時の質問項目は、就職差別につながる「違反質問」を避けて用意しておかなければいけません。
事前準備をしなかった場合、なにげなく発した質問が違反質問に該当し、本来公正であるべき選考の基準が揺らいでしまうおそれがあります。
また、違反質問があったことがハローワークや学校へ伝われば、企業としての社会的信用を損ない、次年度以降の採用活動に支障をきたすこともあるのです。

【2】採用ターゲットの認識を社内で統一するため
ほとんどの企業では採用戦略を立てる際、職種ごとに採用ターゲットの設定をおこなっているかと思います。
このターゲット設定を全ての面接官が共有し、どんなポイントに注目して選考を実施するのかを具体化しておかなければ、マッチしていたはずの人材を不採用にしてしまうことも起きかねません。
違反質問を含まず、かつ的確に自社に合った人材を見極めるために、どのような質問をするべきなのかアイデアを出し合う場が必要となるでしょう。

【3】面接官を育成するため
面接時の質問の洗い出しや面接練習の時間は、新たな面接官を育てる場としても機能します。
面接に対応できる社員を前年以上に増やしておくことで、より多くの応募者と面接できるようになるだけでなく、当日の体調不良といった急なトラブルにも柔軟に対応できる体制を整えられます。
特に次年度以降の採用拡大を検討している企業では、面接官の育成と増員は不可欠といえるでしょう。

これらの理由を見て、「応募書類が届き始めてからでは間に合わない!」と感じた方も多いことでしょう。
今年度の高卒採用を満足のいく結果へ導くためにも、先手必勝の意識で準備に着手することをおすすめします。

知っておくべき面接の違反質問

面接に臨む前提知識として、厚生労働省が定めている「公正な採用選考」の定義を確認しておきましょう。

(1)採用選考の基本的な考え方
ア 採用選考は
・応募者の基本的人権を尊重すること
・応募者の適性・能力に基づいた基準により行うこと
の2点を基本的な考え方として実施することが大切です。

イ 公正な採用選考を行う基本は
・応募者に広く門戸を開くこと
 求人条件に合致する全ての人が応募できるようにすることが大切です。
・応募者の適性・能力に基づいた採用基準とすること
 応募者のもつ適性・能力が求人職種の職務を遂行できるかどうかを基準として採用選考を行うことです。
 就職の機会均等とは、誰でも自由に自分の適性・能力に応じて職業を選べることですが、このためには、雇用する側が公正な採用選考を行うことが必要です。

※出典:公正な採用選考の基本(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_56780.html

就職差別につながるおそれがある面接時の質問や選考方法は、高卒採用に限らずあらゆる採用の場で避けられなければなりません。
では、具体的にどのような質問・選考方法が“違反”に該当するのでしょうか。

本人に責任のない事項の把握

●本籍・出生地に関すること
※「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します。
●家族に関すること
(職業・続柄・健康・病歴・地位・学歴・収入・資産など)
●住宅状況に関すること
(間取り・部屋数・住宅の種類・近郊の施設など)
●生活環境・家庭環境などに関すること

厚生労働省の実態調査によれば、令和6年度に把握された不適切な採用選考事案854件のうち、なんと40%以上が「家族」に関する質問でした。※
また、「住宅状況」は約8%、「本籍・出生地」は約7%と、「本人に責任のない事項」に関する質問だけで全体の半数以上を占めているのです。
たとえ選考に反映する気がなかったとしても、日常会話の延長やアイスブレイクのつもりで聞いてしまうことがないよう十分に注意してください。

※出典:公正な採用選考を目指して_採用選考時に配慮すべき事項(厚生労働省)
https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/consider.html

本来自由であるべき事項の把握

●宗教に関すること
●支持政党に関すること
●人生観・生活信条などに関すること
●尊敬する人物に関すること
●思想に関すること
●労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動に関すること
●購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること

先述した実態調査では、「思想・信条」に関する質問が2番目に多く約9%でした。
「信条としている言葉はありますか」、「尊敬している人はいますか」といった質問も、差別の意図にかかわらず違反に該当してしまうため注意が必要です。

不適切な採用選考の方法

これまでに挙げた質問事項のほか、以下のような採用選考の方法も不適切とされています。

●身元調査などの実施
※「現住所の略図等」は、住宅状況や生活環境などを把握したり、身元調査につながる可能性があります。
●合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施
※採用選考時において合理的・客観的に必要性が認められない「健康診断書」を提出させることを意味します。

健康診断の実施も、実態調査では5番目に件数の多いケースとなっています。
本当に選考時点で実施する必要があるのかを慎重に検討し、実施する場合も業務に関わる必要最低限の確認に留めるようにしてください。

不適切な採用選考の具体例

ここからは、全国で報告された不適切な採用選考の実例を見ながら、質問時に注意するべきポイントを確認していきましょう。

■ケース1

採用面接時に、次のような質問を受けた。

会社:自宅は、○○市のどのへんですか。家の近くには、何がありますか。
生徒:○○公園の近くです。
会社:通勤が不便だけど大丈夫ですか。

会社は、通勤方法について訪ねようとしているが、結果として住居環境について訪ねることとなっている。〔原文ママ〕

※出典:就職差別につながるおそれのある不適切な質問の例(大阪労働局)
https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/shokugyou_shoukai/hourei_seido/kosei/futeki.html

通勤方法を知りたいのであれば、応募者が具体的な住宅状況に言及せずに済む質問をあらかじめ用意しておきましょう。
「家から当社まではどんな交通手段で通勤しますか」、「所要時間はどれくらいですか」など、場所ではなく手段や時間に焦点を絞るだけでも、必要な情報は十分に引き出せるはずです。
また、回答に対して「駅近くに住んでいるんですか」、「本当にそんなに時間がかかるんですか」などと不用意に掘り下げてしまうと、結果的に違反質問に踏み込みかねないため注意してください。

■ケース2

面接の際、「両親は健在か」、「何人家族か」、「家族の年齢」、「家族の職業」について矢継ぎ早に聞かれた。
「学校の指導で答えられません。」と答えると、「そんなはずはない。」「もう、結構です。」と面接官に言われた。
※生徒は、合格しても行きたくないと思った。不安になり、学校に相談した。

※出典:宮崎県、宮崎労働局・ハローワーク、宮崎県教育委員会「知らない間に、採用機会を逃していませんか? 面接は企業を映す鏡です」
https://www.pref.miyazaki.lg.jp/documents/74544/74544_20260512163609-1.pdf

自治体や学校の方針にもよりますが、高校生の就職指導では、本人の能力や適性に関係のない事項は「言わない・書かない・提出しない」と教えられている場合があります。
「学校の指導で答えられません」、「提出できません」などと回答された時は、不適切な質問だったと判断してすぐに切り上げ、選考基準からもその内容を外すようにしてください。
勇気を出して回答した生徒の気持ちに誠実に応えることが、ひいては企業としての社会的信用の醸成にも繋がるはずです。

高卒採用の面接における事前準備

ではここから、高卒採用の面接に向けた具体的な準備の内容を見ていきましょう。

STEP1:採用ターゲットのすり合わせ

今期の採用戦略を立てる際には企業の方針として、どのような人物を採用したいか、あらかじめターゲットを設定しているかと思います。
選考を始めるにあたり、まずは採用ターゲット像を今一度確認しておきましょう。
面接官を複数の人物が担当する場合や、面接の対応期間が長期にわたる場合に、面接の日程や面接官によって合否の基準にぶれが出てはいけません。
高卒採用にかかわる社員全員と認識をすり合わせ、基準を統一しておくことが大切です。

STEP2:質問事項の洗い出し

不用意に違反質問に踏み込まないために、あらかじめ質問事項を決めておくことも重要です。
例えば以下のような質問であれば、公正さを欠くことなく生徒の人物像を引き出すことができるでしょう。

・当社を志望した理由について教えてください。
・高校生活の中で一番頑張ったと思えることは何ですか?
・ご自身で自分の長所/短所だと感じることを教えてください。
・これから◯年後、どんな社会人になっていたいですか?
・実際に社内を見てどう感じましたか?(※職場見学への参加者の場合)

特に志望動機についての質問は、生徒のこだわりや将来への展望、企業理解の深さなど、さまざまな要素を引き出すことができる質問です。
「同業他社ではなく自社を選ぶ理由として納得感があるか」、「入社後の働き方まで具体的にイメージできているか」など、多角的なポイントに注目して評価していきましょう。

高校生活で頑張ったこと、自分の長所と短所なども面接の定番ともいえる質問ですが、生徒の能力・適性・意欲を見極めるうえではやはり効果的です。
「元気で積極的な人材が欲しい」なら意欲を重視し、「細かい作業が得意な人が向いている」なら性格や具体的なスキルにフォーカスするなど、先ほど確認した採用ターゲットから逆算する形で、どんな質問をすれば人物像を引き出せるかを考えてみてください。

また、学校で就職指導と面接対策を受けているとはいえ、一定の社会経験を経た大学新卒と比べると敬語やマナーへの馴染みがなかったり、想定外の質問に言葉が詰まってしまったりする生徒もいると考えられます。
面接官からの追加の質問やフォローによって本当の人物像や良さが見えてくることもあるので、回答に対する応答や関連する質問もできるだけ想定しておくと良いでしょう。

ただし、深く掘り下げすぎて違反質問に触れてしまわないよう注意が必要です。
ピックアップした質問事項は、優先度や質問同士の関連性なども考慮して1枚のシートにまとめておくことをおすすめします。
自社に最適な質問の組み合わせで、生徒の能力・適性・意欲をもれなく確認できるよう設計しておきましょう。

STEP3:面接の対人練習の実施

あらゆる面接が“人対人”の場である以上、必ずしも全てが事前の想定通りに進行するとは限りません。
先ほど作成した質問シートに準拠しながら、実際に社員同士で面接の練習をおこない、イレギュラーな回答への対応策や現状で不足している質問などを洗い出しておきましょう。

面接当日の急なトラブルによる交代の可能性や、選考期間中の日ごとの割り当てなども考慮し、練習の際は複数人の社員に面接官役を担当してもらうことをおすすめします。
適切な面接対応が可能な人員を増やしておくことは、次年度以降の採用活動の拡大にも活きるだけでなく、広く高卒採用一般に対する社内の理解促進にもつながります。

必要に応じた高卒採用支援サービスの活用

初めて高卒採用に取り組む企業では、大卒採用や中途採用と同様の質問・方法で面接や採用選考をおこなってしまいがちです。
しかし、先述したスケジュール感が把握できていなかったり、大卒とは異なる高卒人材の特性を理解できていなかったりすると、自社に合っていたはずの人材を逃すことにもなりかねません。
「高校生の人物像の見極め方がわからない」、「面接で学校側に悪印象を与えたくない」などと考えている方は、民間の高卒採用支援サービスに相談してみるのもひとつの手でしょう。

また、高卒採用の経験自体はあるものの、採用した生徒のミスマッチや早期離職に悩んできたという企業は、面接や選考方法に原因があるかもしれません。
どうすれば自社にマッチする人材を採用できるのか、外部の目を取り入れて今一度見直してみてはいかがでしょうか。
人事・採用担当者の想いにも寄り添いながら、現代の高校生や学校の状況に合った採用戦略を提案してくれるはずです。

『ハイスク!サーチ』では、企業様ごとの採用ターゲットや募集職種に応じた高卒採用支援を実施しています。
面接での質問設計や選考方法にお悩みの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。

面接当日に意識するべきこと

事前準備を万全に整えたら、いよいよ面接本番です。
最後に、面接官が当日に意識するべきポイントをご紹介していきます。

質問シートに沿って面接をおこなう

繰り返しになりますが、面接での違反質問は生徒の人権にかかわる問題であり、企業自体の信用にも悪影響を及ぼしかねません。
基本は事前に作成した質問シートの通りに面接を進め、本筋から逸れた話題に踏み込みすぎないよう注意してください。

「うっかり不用意なことを言ってしまわないか不安……」という方は、生徒の入室直後や退室時の送り出し、場を和ませるために折々でかける言葉なども複数考えておくのがおすすめです。
当然ながら生徒側も緊張して面接に臨んでいるので、面接官からの優しい声掛けで気持ちが軽くなることは十分にありえます。
生徒本来の良さを発揮してもらうためにも、適切な距離感を保ちながらコミュニケーションを図っていきましょう。

生徒からの好印象は学校からの好印象

高卒採用の面接では、終了後に生徒から学校の先生へ、面接での質問内容や手応えについての報告がおこなわれます。
同様にハローワークにも「受験報告書」が提出され、違反がなかったかを確認する仕組みがあるため、面接時の企業側の態度は生徒だけでなく学校やハローワークにも伝わるものと考えておきましょう。
内定辞退が少ない傾向にある高卒採用でも、企業側の対応次第では辞退される可能性もゼロではなく、もし悪印象のまま入社しても早期離職のリスクは拭えません。
できるだけ良い印象を生徒に持ち帰ってもらえるよう、面接では企業側も誠実に生徒に向き合うよう心がけてください。

また、事前に面接練習をおこなう際には、好印象を抱かれるような身だしなみや話し方ができているかどうか、社員同士でチェックし合うことをおすすめします。
もちろん表面的な部分を取り繕っただけでは、むしろ入社後に感じるギャップを強めることになりますし、今後の採用活動における持続性も見込めません。
自社を選んでくれた生徒を温かく“迎え入れる”という、より根本的な姿勢を社内に育み示していくことが、やがて学校からの信頼の獲得に繋がるでしょう。

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