コラム

高校新卒の応募前見学、企業側の事前準備は入念に!当日の注意点は?

高卒採用では、求人へ応募する前の生徒が実際に企業を訪問する「応募前職場見学」が慣例となっています。
参加の有無によって応募率が大きく変わるともいわれる応募前見学ですが、企業側はただ生徒に職場を見せれば良いというわけではありません。
他社との差別化を実現し、生徒からの応募を獲得するためには、入念な事前準備が欠かせないのです。

今回は、高卒採用ならではの特色を踏まえた見学をおこなうために、企業側で必要な事前準備から具体的な準備物、当日の注意点までご紹介していきます。
初めて応募前見学を受け入れる企業の方、これまでの見学プログラムを見直したいという企業の方は、ぜひこの記事を参考に準備を進めてみてください。

高校新卒向け職場見学の基礎知識

高卒採用は大卒や中途と異なり、行政(厚生労働省・文部科学省)、主要な経済団体、学校組織による三者協定で厳格なルールが定められており、応募前職場見学も例外ではありません。
まずは職場見学の実施前に押さえておくべき、基本的なポイントを確認していきましょう。

応募前見学のねらい

学校の先生が生徒と企業を橋渡しする、学校斡旋が今なお一般的な高校新卒の就職活動。
求人の紹介から提出書類のやりとりまで多くの場面で先生を介し、生徒と直接かかわる機会の限られる企業側にとって、応募前見学は“ただの職場見学”ではありません。
生徒と直接コミュニケーションを取り、「この企業で働きたい」と思ってもらうためのアピールを尽くすことができる、まさに採用活動の最前線ともいえる場なのです。

社会人が実際に働いている様子や職場環境を見ることができる機会は、社会経験の少ない生徒たちにとっても同様に貴重といえます。
生徒が企業や業界、仕事内容への理解を深め、「自分がこの企業で働いていけそうか」を判断することは、ミスマッチの防止という観点から企業にとってもメリットとなります。
また、以降の就職活動の指針や将来のキャリアを思い描く手がかりにもなるこの機会に、自社をいかに深く印象づけるかが、これからの生徒の応募行動に大きく影響するのです。

開催時期・時間の目安

応募前見学は、高校新卒向けの求人・採用活動が解禁される7月1日から、応募書類の提出・選考活動が開始される9月5日までの間におこなわれます。
特に7月下旬から8月までは学校の夏休み期間と重なり、生徒の学業への影響も少ないため、この期間が見学の申し込み〜実施のピークとなることが多いです。

職場見学を希望する生徒がいる場合は学校の先生から申し込みの連絡が入るので、先生とやり取りをしながら具体的な日取りを決めていきましょう。
また、1回の見学の所要時間としては1〜1.5時間程度が標準的です。
生徒が集中力を保って見学に臨めるよう、例えば会議室だけでの長時間の説明や座学は避けて、職場内を歩きながらの説明やワークを交えるなど、内容にメリハリをつけることをおすすめします。

事前選考と見なされる行為は厳禁

企業側が特に注意するべきことが、「事前選考の禁止」という高卒採用のルールです。
高卒採用において、選考や内定出しの開始日は例年9月16日と明確に定められており、それ以前に選考と思われる行為をとった企業は行政指導の対象となります。
以下のような企業側の行為は「事前選考」と判断されるおそれがあるため、職場見学の場に限らず選考開始日より前におこなうことがないよう注意してください。

こんな行動・発言には要注意!
・自社に対する生徒の志望度合いや適性・能力を評価するような質問をすること
・履歴書などの応募書類や独自の調査書・アンケートなど、規定外の書類提出を求めること
・適性検査や筆記試験、簡単な実技テストなどを実施すること
・「君なら合格できるよ」「内定を出してあげる」など、選考の優遇や合否判定と取られる発言をすること
・見学時に得た生徒ごとの情報や評価を、9月以降の選考に利用すること

応募前職場見学の事前準備4ステップ

以上の前提知識を踏まえて、さっそく応募前見学に向けた準備を進めていきましょう。
応募前見学の準備事項は大きく以下の4つのステップに分けられます。

STEP1:目標人数の設定

まずは、職場見学にどれくらいの生徒が来てほしいか、目標となる人数をあらかじめ想定しておきましょう。
その際に目標とする人数は、採用活動を始めるにあたり算出した目標採用人数よりも多めに設定しておくことが大切です。
応募前見学は生徒にとって、あくまで「自分がこの企業で働いていけそうか」を判断するための機会であり、見学に参加した全ての生徒がそのまま応募をするとは限りません。
何名程度の見学を受け入れれば採用人数の目標にも到達しそうか、データを取りながら自社に最適な人数を見極めていきましょう。

STEP2:見学内容の精査と役割分担

目標人数を定めたら、次は見学時の具体的なプログラムを決めていきます。
見学先となる部署や現場で働く社員とも相談しながら、1〜1.5時間という時間設定の中で実施できる内容を挙げていきましょう。
下記のプログラム例も参考にしながら、「自社だからこそ見せられるもの」、「これだけは生徒に伝えたいこと」を中心にして考えてみてください。

職場見学のプログラム例
・座学でのオリエンテーション
・主要な部署や現場の社内ツアー
・参加型の簡単な業務体験
・先輩社員との座談会
・質疑応答 など

なお、参加型の業務体験を実施する際は、事前選考の禁止例として先述した「実技テスト」と捉えられないよう注意が必要です。
例えば、ひとつの作業を終えるまでの時間を計測して順位づけをしたり、生徒ごとの作業の手際を比較するような発言をしたりすると、事前選考と見なされるリスクがあります。
企業側が生徒の能力や適性を“評価する”場ではなく、自分に合った仕事かどうか判断するための材料を“生徒に提供する”場として内容を組み立てましょう。

見学の内容とあわせて、社員ごとの当日の役割分担も考えておきましょう。
特に生徒のアテンドをする担当者は、できるだけ高校生に近い世代の若手社員にすることをおすすめします。
年の近い先輩社員の活躍を目にすることで、「この人みたいに成長したい」、「この企業なら自分も頑張れそう」といった親近感が生徒に芽生え、応募への心理的なハードルを下げる効果が期待できます。
さらに高校新卒で入社した社員であれば、生徒からの質問にも近い目線で答えることができ、不安や悩みにも寄り添った対応ができるでしょう。

STEP3:学校の先生への周知

学校訪問をおこなう際には、職場見学の受け入れが可能であることを先生にアピールしておきましょう。
たとえ求人票の記入欄に見学実施の旨を書いていたとしても、期間中に多くの求人票に目を通さなければならない先生が見落としてしまう可能性はゼロではありません。
生徒への紹介の後押しになるよう、見学の詳しいプログラムや先生・保護者の同伴の可否など、求人票に書き切れなかった要素ももれなく伝えておきましょう。
また、見学時の交通費の支給や駅までの送迎サービスなどは、遠方に住む生徒や他県の学校の先生へのアプローチにおいて大きな強みです。
紹介・参加への心理的ハードルをできるだけ下げるためにも、自社でできる限りの対応を検討することをおすすめします。

『ハイスク!サーチ』では、企業の現状に応じた採用戦略の立案や見学のフォロー、学校訪問の代行など、応募前見学の事前準備にも役立つ網羅的なサポートを展開しています。
高卒採用に初めて取り組む企業様、見学の受け入れが応募に繋がらずお悩みの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。

STEP4:社内への周知と職場の整理整頓

先生からの申し込みを経て見学の実施日時が確定したら、社内全体に日程をアナウンスし、全社員に高校生を受け入れる心の準備をしてもらってください。
応募前見学では主に担当社員が進行と引率をおこないますが、当日は社内にいるほかの社員も生徒の目に入ります。
生徒とすれ違っても挨拶をしなかったり、ばたばたと忙しそうな様子だったり、さらには大声や怒号が聞こえたりすれば、当然ながら生徒からの印象は悪くなってしまいます。
事前にアナウンスをしておくだけでも、見学の当日だけでなく準備期間中から挨拶や来客対応への意識も自然と高まるはずです。

また、生徒が見学時にチェックする「職場環境」には社員の姿だけでなく、玄関先から各部署の仕事場までの社内の清潔さも含まれます。
職場の清潔さも確認するよう学校で指導されていることもあるので、ほかの社員の協力も得ながら、職場見学に向けた整理整頓や清掃活動にも取り組みましょう。
もちろん、付け焼き刃の清掃では社内の隅々まできれいにすることは難しいため、日頃から清潔な環境を維持するよう心がけることをおすすめします。

職場見学の当日に向けた準備物

社内への周知や職場環境の整備と並行して、進行のための印刷物や備品なども準備する必要があります。
ここからは職場見学をおこなう上で、準備しておくべき資料やおすすめのツールをご紹介していきます。

高校生向けの資料・配布物

・当日のタイムスケジュール表
時間ごとの見学場所や内容、案内役となる社員の紹介などをリスト化しておきましょう。

・企業案内やパンフレット
写真やイラストなどが多く、高校生が見てもわかりやすいものが望ましいです。

・先生や保護者向けの案内チラシ
研修制度や福利厚生制度など、入社後の安心材料を紹介しておくことをおすすめします。

・自社ノベルティグッズ
ボールペンやメモ帳、ステッカーなど、配布可能な記念品があれば用意しておきましょう。

当日の動きや時間割がわかる資料は必須として、応募前見学に際しては高校生向けのパンフレットも用意しておくことをおすすめします。
生徒がどれほど入念にメモを取ったとしても、口頭の説明だけでは言い残しや聞き漏らしが少なからず生じ、せっかくのアピールポイントも伝わりきらない可能性が高いです。
「高校生に伝えておきたいこと」を、あらかじめパンフレットという形に具体化しておけば生徒の印象にも残りやすく、進行の担当者が説明をする際の手がかりにもなります。

また、生徒が見学から持ち帰った資料は、そのまま家庭で保護者と一緒に読み込んだり、見学内容を学校の先生と振り返る際に参照したりする可能性が高いです。
企業としての信頼感、入社後の環境面や待遇の魅力を先生・保護者にアピールするチャンスにもなるので、両者をターゲットとした資料もあわせて用意しておくと良いでしょう。

高卒採用に初めて取り組むという企業様の場合、一般向けの企業案内資料はあったとしても、高校生向けに情報を精査したパンフレットやチラシはお持ちでないかと思います。
『ハイスク!プロモ』では、パンフレットやチラシなどの印刷物から、配布用のノベルティグッズ、動画コンテンツまで、高卒採用に特化したさまざまなツール制作をおこなっています。
「応募前見学までに何か用意しておきたい!」というご相談にも、短納期で制作可能かつ効果的なツールをご提案しますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

見学場所に応じた熱中症対策グッズ

応募前見学のピークである7月〜8月は、同時に暑さのピークでもあります。
愛知、岐阜、三重の東海エリアをはじめとして、最高気温40度以上のいわゆる“酷暑日”はすでに複数の都道府県で観測されています。(2026年7月28日時点)
空調の設置が難しい製造業の工場内や、炎天下で作業をおこなう建築業の現場など、特に体感温度の高い場所で見学をおこなう際は熱中症対策が不可欠でしょう。

応募前見学は生徒にとって、入社後の労働環境を肌で感じる場でもあります。
生徒の抱く不安を払拭するためにも、冷たいお茶やスポーツドリンク、塩飴、うちわなどの対策グッズは、事前の案内で生徒に持参を呼びかけるだけでなく、企業側でも準備しておくことをおすすめします。
また、「定期的な水分補給や体調確認の点呼の時間をタイムスケジュールに組み込んでおく」、「説明時には必ず日陰か室内に入る」、「体調不良者を休ませる涼しいスペースを用意する」などの取り組みも熱中症予防〜発生時の対策として効果的です。

応募前見学当日の心構えと注意点

一通りの準備を終えたら、あとは応募前見学の本番を待つのみです。
見学当日を迎えるうえで、企業側はどのようなことに注意するべきでしょうか。

“見学の参加者=応募者”ではない

先述した通り、職場見学に参加した生徒の全員が、必ずしも自社に応募してくれるとは限りません。
近年では従来のような一人一社制の慣例から転じて、複数社を見学して自分に合う企業を見極めるよう生徒に勧める学校も多く見られます。
応募前見学を受け入れる企業側も、常にこの前提を念頭に置いて、“自社を選んでもらう”ためのアピールに取り組むことが重要です。

もちろん、自社への応募が確定していないからといって、見学の参加者を軽く扱うようなことは決してあってはいけません。
たとえ今年度の応募や採用に直結しなかったとしても、応募前見学での誠実な対応を積み重ねていけば企業としての信頼感が向上し、次年度以降の紹介につながる可能性もあります。
採用活動のあらゆる場面をチャンスと捉えて、学校側との深い信頼関係を着実に築いていきましょう。

撮影・SNS投稿は事前確認が必須

近年では、職場見学の風景を撮影してWEBページやSNSでの広報活動に使用する企業も多く見られますが、その際にも注意が必要です。
公開する意図の有無にかかわらず、見学の様子を写真や動画で撮影・記録する場合は、必ず事前に先生・保護者・生徒本人の同意を得てください。
無許可での撮影は被写体の肖像権の侵害となる可能性があるだけでなく、近年のインターネット環境の変化により、さらに深刻なプライバシーの侵害や犯罪行為に悪用されるリスクも高まっています。
インターネット上に顔写真が露出することへの忌避感をもつ先生・保護者も多いため、あらかじめ丁寧に説明を尽くして納得してもらうことが大切です。

一部のハローワークでは「肖像権使用承諾書」※といった名前で同意書の雛形を公開しています。
所轄のハローワークにも確認しながら、同意の記録は必ず書面で残しておきましょう。
また、撮影やWEB公開への同意が得られなかったとしても、その返答をもって不採用とするようなことは決してしないでください。

※出典:秋田労働局「学生・生徒の方へ」
https://jsite.mhlw.go.jp/akita-roudoukyoku/newpage_00340.html

見学終了後のフォロー連絡も忘れずに

応募前見学のあとは必ず学校の先生に連絡を入れ、見学が無事に終了したことと、生徒の参加に対するお礼を伝えましょう。
来社時や見学中の挨拶、社員の話を聞く際の姿勢などは、生徒を送り出す側の先生の多くが心配するポイントです。
気持ちの良い挨拶や熱心に話を聞いてくれたことへの感謝を先んじて伝えておくと、生徒に対する先生の不安を払拭できるほか、“生徒のことをよく見ている”企業としてのイメージアップにもつながります。

また、先生へ連絡を入れる際には、生徒が無事に帰校・帰宅できたかもあわせて確認するようにしてください。
こうした細やかな配慮や生徒の安全に対する意識も、企業としての信頼感を高めるうえで重要なポイントです。
“家に帰るまでが見学”という意識を企業側も忘れず、見学中だけでなく終了後まで誠実なフォロー対応に努めましょう。

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