2026年3月30日、高校生の進路選択のさらなる多様化へ対応することを目的として、愛知県で一部の高卒採用求人を対象に「一人二社制」を導入することが愛知労働局より発表されました。
これまでの愛知県の高卒採用では、一次選考期間の応募・推薦先を生徒一人につき企業一社のみとする「一人一社制」の慣習が根強く、今回のルール変更は高卒採用市場の大きな転換点と言えるでしょう。
そこで今回は「一人二社制」について、愛知県で高卒採用に取り組む企業が押さえておくべきポイントを解説していきます。
求人票を作成する際の注意点や、一人二社制により高まるリスクとその対策についてもご紹介するので、ぜひ今後の採用活動の参考にしてみてください。
一人二社制のメリットと注意点
まずは、今回のルール変更について基本的なポイントをご紹介してきます。
選考開始日から一人二社の応募・推薦が可能に
愛知県就職問題連絡協議会の申し合わせにより、2027年3月卒業予定の高校生から、選考開始日である9月16日から一人につき二社までの応募・推薦が認められることになりました。
いわゆる一次選考期間中(9月16日〜10月31日)から複数の企業への応募・推薦が可能な自治体は、愛知県で全国7府県目です。
愛知労働局が公開した資料から、今回のルール変更の要点を抜粋します。
●10月31日までの応募・推薦は「一人一社」、11月1日以降は「一人二社」まで応募・推薦可能
【令和8年度(令和9年3月卒業者)からの取扱い】
●指定校求人は、10月31日までは「一人一社」、11月1日以降は「一人二社」まで応募・推薦可能です。(指定校求人の取扱いはこれまでと変更ありません)
●指定校以外の公開求人で、複数応募可の求人に限り、9月16日の選考開始日から「一人二社」まで応募・推薦可能となります。(令和8年度からの新しい取扱いです)
※出典:愛知労働局「令和8年度(令和9年3月卒業者)から愛知県の「一人一社制」の取扱いが変わります!」〔太字は筆者〕
https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/content/contents/002631768.pdf
一人二社制を解禁するメリット:高校生側
高校生にとって一人二社制の最大のメリットは、応募先の選択肢が増えることでしょう。
・二つの業界に強く関心があり決め手を欠いている。
・一次応募の企業一社で不合格だった場合に、切り替えて二次応募に臨めるか不安。
例えば上記のような悩みは、これまでの高校生の就職活動には付きものでした。
一人二社制の解禁により併願が可能となることで、こういった高校生の悩みも少なからず解消されるはずです。
一人二社制を解禁するメリット:企業側
これまでの一人一社制の時代には、高校生の応募はどうしても名の知れた大手企業に集中してしまいがちでした。
しかし、一人二社制の解禁に伴って、高校生の応募行動に以下のような新たな動機が働くことが考えられます。
・自分の本命の企業と一緒に、先生/親に紹介された企業の選考も受けておきたい。
・全く知らない企業だったけど、二社目の検討中に見つけたので応募してみよう。
一人二社制の解禁は、特にこれまで大手企業の陰に追いやられてしまっていた中小企業にとって、新たな接点が生まれるきっかけにもなり得るのです。
一見するとあまり積極的な動機ではないため、選考に際しては慎重に判断する必要がありますが、思わぬマッチングにつながる可能性もある大きなチャンスと言えるでしょう。
【要注意】指定校求人と公開求人で扱いが異なる
変更後のルールに従ううえで、特に注意したいのが「指定校求人」と「公開求人」の違いです。
企業側が指定した特定の高校の生徒のみが応募できる指定校求人の場合は従来通り、9月16日〜10月31日の期間は一人一社までしか応募できません。
指定校求人の複数応募(一人二社まで)が可能となるのは、11月1日以降の二次募集期間のみのため注意が必要です。
企業側は、自社が出している求人の公開範囲や区分に応じて、これからの対応の要否を判断してください。
採用ターゲットに応じた求人作成を
高卒採用に初めて取り組む企業の場合、指定校求人と公開求人のどちらで求人を出すべきか判断に迷うという方も多いでしょう。
あるいは、これまで指定校求人を出し続けていた企業が、今回のルール変更を機に公開求人を検討し始めることもあるかもしれません。
指定校求人と公開求人にはそれぞれ強みがあり、想定する採用ターゲットによって求人の種類やアプローチ方法を切り替えることが大切です。
『ハイスク!サーチ』は、ターゲットに応じた採用戦略の見直しや、個別の学校へのアプローチにおける対策の立案など、高卒採用にかかわる企業様の課題解決を多角的に支援する伴走サービスです。
「自社に最適な求人区分やアプローチ方法を知りたい」、「一人二社制へ対応するべきなのかわからない」など、自社の採用戦略についてお悩みの企業様はぜひご連絡ください。
求人票を作成する際の注意点
それでは、一人二社制に対応した求人を出す際、企業はどのような点に注意すればよいのでしょうか。
求人票の公開範囲・区分の設定
先述した通り、今回のルール変更の対象となるのは、全国の不特定多数の学校に公開される「公開求人」で、且つ求人票で「複数応募可」を選択したものに限られます。
これまで指定校求人しか出していなかった、あるいは複数応募を不可としていた企業が変更後のルールに対応する場合は、求人票の修正が必要となるため注意してください。
職種欄への必須記載事項
もうひとつの注意点として、求人票の職種名へ新たに追記しなければならない文言があります。
【選考開始日から複数応募可】
職種名を記入する際には、末尾に必ず上記の文言を加えてください。
例えば、「製造技能職」の求人であれば「製造技能職【選考開始日から複数応募可】」と、隅付き括弧も含めそのまま追記する必要があります。
あわせて全角40文字以内に収めなければならないため、大元の職種名が長くなりすぎないよう注意しましょう。
求人者マイページでの確認・変更手順
ハローワークの求人者マイページから複数応募に対応した求人票を作成する場合は、以下の3つの設定が必須となります。
項目名『求人情報・事業所名の公開範囲』に記載する公開希望は、「1. 事業所名等を含む求人情報を公開する」を選択してください。
↓
■『3 仕事内容』で職種名を設定
項目名『職種』に募集する職種名を記入し、後ろに「【選考開始日から複数応募可】」とそのまま追記してください。
↓
■『7 選考方法・応募前職場見学』で複数応募の可否を設定
項目名『複数応募』では複数応募「可」を選択してください。
『複数応募年月日』には、求人票を記入している年の9月16日を設定します。
また、今回の求人区分は公開求人となるため、項目名『指定校推薦』は空欄のままにしておいてください。
特に、過去の高卒求人を転用して作成する場合は、新たに必要となった職種名の追記事項を忘れないよう注意してください。
また『補足事項』や『求人条件にかかる特記事項』の欄に、「推薦依頼総数◯校◯人(貴校 人)」という記載が残っている場合は削除しておきましょう。
複数応募の受付に向けた準備
新たなルールに対応した求人票の作成とあわせて、採用活動の動き自体も、一人二社制を考慮したものにチューニングしていく必要があります。
複数応募可であることを周知する
9月には応募前職場見学も大方終了し、進路指導の先生は生徒の応募先の最終調整を行っています。
これから選考解禁日までに訪問する学校の先生に対しては、自社が選考開始日からの複数応募を受け入れていることをしっかりと伝えておきましょう。
また、次年度以降も複数応募の受付を継続する場合は、今後の学校訪問でもその旨を伝えておくことをおすすめします。
同業他社と迷っている生徒や、まだやりたいことが定まっていない生徒などへ、併願応募の選択肢として新たに紹介してもらえる可能性が高まるはずです。
複数応募に対応できる選考体制を構築する
一人一社を前提としていた従来と比べると、複数応募の解禁により受付開始直後の応募者数も増加する可能性があります。
これまで通りの人員では対応しきれないおそれがあるため、面接に対応可能な社員をあらかじめ増員しておくとよいでしょう。
面接時に聞くべき質問の洗い出しや質問順の設計、社員同士での練習など、適切な面接対応を行うために必要な準備事項は多岐にわたります。
選考解禁日の直前まで入念に準備をして、万全の体制で当日を迎えましょう。
また、面接にかかわるもう一つのイレギュラーとして、他社の面接と日時が重複することが考えられます。
面接官の増員とあわせ、面接枠を設定する際には予備日も含めた余裕のあるスケジュールを計画し、学校からの日時調整の打診にも柔軟に対応できるよう備えましょう。
内定辞退・ミスマッチへの対策が急務!
一人二社制の解禁に伴い、企業が特に注意しなければならないのが内定辞退のリスク、およびミスマッチの可能性です。
一人二社制で変わる高卒就職の慣習
これまで一人一社制により応募先の選択肢が限られていた高校生は、一次応募で内定を受けた企業にそのまま就職することが通例でした。
今回のルール変更により、はじめから二社への応募が可能になったということは、必然的に就職先として“選ばれる企業”と“選ばれない企業”が生まれることにほかなりません。
愛知県で高卒採用を行う企業では今後、内定辞退のリスクを回避するための対策がこれまで以上に重要になるでしょう。
また、高校生の就職活動では、応募先として検討している企業やその業種・職種について事前にリサーチする「企業研究」を行うのが一般的です。
これまでは一次応募先が一社のみに絞られていたため、生徒は限られた就活スケジュールの中で、企業研究の時間を全てひとつの企業に充てることができました。
しかし、これからは二社を併願する生徒の場合、一社あたりの企業研究に割けるリソースは端的に半減すると考えられます。
二社への応募が可能となり、生徒の進路選択の幅はこれまでより広がる一方で、個別の企業や仕事に対する理解が不足し、採用・就職のミスマッチにつながるおそれもあるのです。
今後は、いかに企業側から学校や生徒に働きかけて企業理解を促し、ミスマッチを未然に防ぐかが大きな課題となるでしょう。
選考結果の通知はできるだけ早く
これまでの高卒採用の現場では、面接後の採否結果は7日以内に通知するという原則的な慣習がありました。
一人二社制が解禁されたこれからの愛知県の高卒採用市場では、この“結果通知のスピード感”が、採用の成否を今以上に大きく左右すると考えられます。
例えば、以下のようなケースを想定してみましょう。
・企業A → 生徒Xの面接後、併願であることを見越し3日後に内定を通知
・企業B → 生徒Xの面接後、従来通りのスケジュールで7日後に内定を通知
このような場合、先に内定をもらったことに安心した生徒Xは、企業Bからの通知が届く前に企業Aへの入社意思を固めてしまい、遅れて届いた企業Bの内定を辞退する可能性があります。
もちろん、面接後の採否の判断はこれまで通り慎重に行うべきですが、7日以内という従来の感覚のまま選考を進めていると、今後は上記のような事態が起こりかねません。
採用通知書の作成や発送を行う前に、まずは学校の先生に電話で連絡して、内定の旨を先んじて伝えておきましょう。
入社までの期間に企業理解を促す
一人が複数の企業へ同時に応募できる大卒・中途採用では以前から、企業や業務内容への理解を促し内定辞退を防ぐための「内定者フォロー」が行われるのが一般的でした。
これからは高卒採用においても同様に、内定者への丁寧なフォローがますます重要となるでしょう。
企業から生徒への直接連絡が禁止されている高卒採用では、学校の先生を介した資料の送付が主なフォロー手段となります。
入社までの準備事項をまとめた資料のほか、普段の社内の雰囲気をイメージできる社内報のような刊行物、会社案内やパンフレットといった企業理解に役立つツールなど、生徒のモチベーションの維持につながる資料を定期的に送付しておきましょう。
『ハイスク!プロモ』では、高校生向けに特化したパンフレットやチラシなどの印刷物をはじめ、さまざまなPRツールの制作をおこなっています。
入社準備のための配布チラシ、具体的な仕事内容や先輩社員のインタビューを掲載したパンフレットなど、内定者フォローに役立つツール制作のご相談にも柔軟にご対応しますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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また、パンフレットや説明会動画などのプロモーション事業も同時に進められますので、より多くの情報提供ができますし、企業を理解して入社することでミスマッチの軽減にもつながります。
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